「4K企業」を見つけよう
「4K企業」(よんけーきぎょう)は私の造語で理想的な企業をあらわす言葉です。私の本業は経営コンサルタントで、おもに経営計画づくりとその実践助言を仕事にしています。
理想的な会社をわかりやすく定義するために「めざせ4K企業」と申し上げてきました。4Kとは、「高成長」「高収益」「好財務」「好待遇」の頭文字をとっています。
具体的に「高成長」とは売上高がコンスタントに10%以上成長している会社のことです。「高収益」とは営業利益率が10%以上あること、「好財務」とは自己資本比率が50%以上あること、「好待遇」とは社員の給料が勤務時間が業界平均より優遇されていることと定義しています。
平たくいえば、「伸びていて」「儲かっていて」「つぶれそうもなくて」「待遇が良い会社」なのですから理想的ですね。問題はそういう会社をどうやって見つけだすかです。
幸い上場企業は自社の業績や財務内容を投資家に公開する義務があります。自社のIRサイトで四半期単位で情報公開しているほか、全上場企業の最新情報をまとめた『会社四季報』をチェックすることで必要な情報はすべて入手できます。

4K企業の見つけ方
東洋経済新報社から年に四回発売される『会社四季報』から4K企業を見つけだすことができます。下の画像は「PR TIMES」(3922)の四季報記事です。まず【業績】欄にある「売上高」をみるとコンスタントに10%以上の成長を続けていることがわかります。次に隣の「営業利益」の欄を確認すると、売上高の10%以上の営業利益率であることがわかりますね。
これによって「4K」のうちの高成長・高収益の2Kが合格であることが確認できました。

次に「自己資本比率」が50%以上あるかどうかは中央やや左上にある【財務】欄を見ます。「自己資本比率」という項目があるのを確認していただけましたか?この数字が50%以上になっていれば三つ目のK「好財務」の条件をクリアしたことになります。この例では78.8%という堂々たる数字です。不動産や金融の業界はそもそも自己資本比率が低いので、それらの業界では20%をクリアしていればOKとします。
最後は「好待遇」をチェックします。上場企業に低待遇の会社はほぼないと思いますが、念のために確認しましょう。画像右下の本社住所があるボックスの中央に、社員数や平均年齢、平均年収が載っています。PR TIMESの場合は社員の平均年齢29.7歳、平均年収578万円ですから申し分ありませんね。日本全体の平均年収が433万円ですから充分にそれを上回っています。現時点では勤務時間や休日の情報は載っていませんが、いずれ掲載されるようになるでしょう。
4K企業をリスト化する方法
『会社四季報』で4K企業を発見したらその都度付箋を貼って読み進めていきます。初めてこの作業をするときは一日2時間この作業をしたとしても全銘柄(約4,000社)チェックを終えるのに最低一週間は必要です。2時間×7日は14時間、つまり840分。その時間内で4,000社見るわけですから、1社あたり0.2分(12秒)となります。慣れればこれで充分ですが、最初のうちは12秒では厳しいです。そこでポイントは「特定業界を素通り」することです。なぜなら、この作業の目的はあなたが投資したいと思う企業を見つけること。完ぺきなリストを完成させることではありません。そこで最初から投資する予定のない業界や、興味が薄い業界、苦手な業界のチェックを省略すればよいのです。
『会社四季報』をつかって4K企業を探し出す方法は以上です。付箋を貼った企業のExcelファイルを毎回作ると自分用のデータベースになります。私の場合はこんな書式で毎回整理していますが、この作表時間に更に数時間を必要です。自分用の投資判断が目的なので、普通はもっとシンプルな書式で充分でしょう。

【レーザーテックの教訓】
4K企業ではなく3K企業はどうするか、あるいは2K企業はどうするかという問題があります。すごく魅力的な会社なのに何かの条件を満たしていないため付箋を貼るのを断念してしまうと後悔することになります。柔軟性も必要なのです。
半導体の「レーザーテック」(6920)はかなり以前から「高成長」「高収益」「好待遇」でしたが「好財務」ではありませんでした。自己資本比率が50%に満たない時期があったのです。「惜しいな〜」と思いつつも私は機械的に除外していました。
しかし2〜3年後、「レーザーテック」が4K企業の条件を満たしたときには株価はすでに10倍以上に化けていました。
「しまった、3K企業や2K企業の段階でもリスト化すべきだった」というのが私の反省です。
したがって会社四季報チェックは「興味深い銘柄を発見するのが最大の目的」であることを決して忘れないでください。
まとめ
『会社四季報』が年に四回発売されるつど、4K企業リストをつくる必要はありません。私は「経営と投資」研究会を主催しているので毎回この作業をしていますが、個人投資家は最初の一回で充分かもしれません。
また、SBI証券の「スクリーニング」というワザを使うと、瞬時に4K企業を探し出すことができます。手作業だと20時間かかる作業が、ものの1分でできてしまうわけですから1,000倍以上の生産性です。そのやり方は別のところで解説します。
また、米国株や中国株の中から4K企業を見つけだす方法も別の機会でお話しします。