日本株

東証の歴史的改革 三区分でスタート

「プライム」「スタンダード」「グロース」の三区分

これまで東証一部、東証二部、マザーズ、ジャスダック(スタンダードとグロース)の4区分だった日本の株式市場。それが2022年4月4日(月)より「プライム」「スタンダード」「グロース」の三市場に再区分されました。世界に誇る優良銘柄が集まった「プライム」、それに準ずる「スタンダード」、若さと将来性が魅力の「グロース」と分かれることで投資家に分かりやすい区分にすることが狙いです。

今、なぜ市場改革?

特にバブル崩壊後の日本の株式市場は売買代金において韓国や香港から猛追を受けています。2017年には韓国や香港の市場の3倍程度の売買代金を誇った日本ですが、2021年末現在ではご覧のように肉薄されているのです。「このままではまずい!」という東証の危機感、日本政府の危機感が今回の市場改革につながっているのです。

週刊「東洋経済」2022年4月9日号『東証沈没』より

経過措置でかなり骨抜きに

当初は東証一部企業約2,100社の多くが淘汰されて、選りすぐりの企業だけが「プライム」に残るとみられていました。しかし、歴史と伝統ある企業を機械的に降格させることに消極的な東証は「抜け道」を作りました。プライム上場基準を満たさない一部上場企業でも、将来基準をクリアする計画書を提出すれば「プライム」に残留できるようにしたのです。しかも計画達成の期限は設けませんでした。これが「骨抜き」の理由です。

こちらは米国ニューヨークタイムズの記事ですが、「日本のプライム市場にはトヨタやソニーのほかに温浴施設も含まれている」と報じています。

「ウォルストリートジャーナル」記事より

かなり強烈な皮肉記事です。世界に誇るトヨタやソニーと同じプライム市場に社員13人の「エコナックホールディングス」という会社が上場していることを大きく取り上げているのです。新宿・歌舞伎町で温泉・スパ施設を運営する「テルマー湯」を保有する同社は1969年以降、配当を支払っていません。これが「グローバルな投資家との建設的な対話」に重点を置き「多くの機関投資家の投資対象」となることを目指しているプライム市場の銘柄なのかという指摘です。今後、こうした矛盾を解決しない限りいよいよ外国人にわかりづらい市場になりかねません。引きつづき注目していきましょう。

週刊「東洋経済」2022年4月9日号『東証沈没』より