自己資本比率0.0%未満が196社もある
米国ではいま債務超過企業が増えています。自己資本比率が0.0%未満の会社が196社もあるのをご存知でしたか。日本は22社しかありませんから、いかに米国に債務超過企業が多いかがおわかりいただけるでしょう。これは、未曾有の大不況といわれたリーマンショックの時よりも多いのです。
新型コロナの影響を受けているとはいえ企業業績は悪くないアメリカ。なかには空前の利益を出していながら債務超過企業が増えているのはなぜでしょうか。
債務超過の米国企業
マクドナルド、スターバックス、ドミノピザ、ボーイング、フィリップモリスなど、すべて債務超過企業です。これらの会社が赤字で苦戦しているのならわかりますが、黒字を継続しながら自己資本比率が悪いのです。

『米国会社四季報2021年版春夏号』より
なぜ債務超過を放置しているのか。
その理由は企業が「財務よりも株価」と考えているからです。
■米国に債務超過企業が多い理由、その1
財務を良くするよりも株価を高くすることに関心が強い経営者が多いアメリカ。したがって、税引き後の純利益が100万ドルあっても配当を200万ドル払い、自社株買いで300万ドル使う、そんな企業があとをたちません。
その資金を賄うために社債を発行したり、銀行借入を増やしているのです。そこまでして株主を喜ばせ、株価を引きあげたいわけです。その結果、配当性向が100%以上(中には1000%以上)という会社もあるのです。
■米国に債務超過企業が多い理由、その2
日本では債務超過になると、1年以内に是正しないと上場廃止になります。ところが米国には債務超過に関する基準がありません。したがって金融機関との関係がしっかりしていて、現金収支さえ管理されていれば自己資本比率はあまり重視しないという会社が多いのです。
それでも自己資本比率は重要
ここからは私の意見です。「それでも自己資本比率は重要」というのが私の考えです。
債務超過を放置する経営は、一部のブランドカンパニーだけが行える高等戦術であり、財務が重要であるという原則は今なお世界の常識です。
したがってあなたが投資する企業は4K企業をベースに考えてください。4K企業の意味は別のところで書きましたので、そちらを参照してください。
2022年以降、金利が上昇する見通しです。借金体質の会社は金利負担がズッシリとのしかかります。金融緩和政策が終了したとき、まっさきに倒産するのは財務が脆弱な企業ですから、債務超過企業への投資は避けてください。
投資先の倒産はあってはならない
投資はマネーゲームではありません。堅実に資産を増やしていくことができるのは4K企業への投資です。ゲーム感覚の投資をして損害をだすと金額以上に大きなマイナスがでます。雑な投資、乱暴な投資。投げやりな投資に陥らないためにも、自分で決めた投資ルールは必ず守るようにしましょう。まずは債務超過企業の投資は避けるべきです。